やすぴか日記

日常の出来事と過去の思い出の記録

母の施設入所で良かったことと心配なこと

 母が施設に入所後、初めて会いに行った。と言っても、入所後4日目である。元々お盆休みで、妻と息子と3人で名古屋の実家に行く予定であったが、母が急に施設に入ることになってしまった。息子の休みがこの時期しかないので、ホテルを予約してあったこともあって、そのまま予定どおり行くことにした。

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 コロナ対策がまだ継続しており、面談は15分という決まりがあったが、家族と一緒であれば外出も宿泊も自由とのことで、結構良心的な施設である。1日目は着替えを取りに行きたいというので実家に連れていき、2日目は喫茶店に行ってみんなで話をした。

 会って気づいたことは、まだ4日目だというのに、ちょっと穏やかな顔になっていたことと、あまりお腹が空かないと言っていたことだ。母は実家にいるときは、糖尿病のため自分でインシュリンを打っていたし、不自由な足をひきずりながら、3度の食事も自分で準備していたし、洗濯や身の回りのことは自分でしてきた。

 しかし施設にいれば、インシュリン接種も飲み薬の管理もしてくれるし、洗濯や掃除もしてくれる。黙っていても3食出てくるし、おやつまで出してくれる。薬の時間や食事の時間を自分で気にすることもないので、何もすることがなければ、たしかに食べてばかりのような気がしてしまうのだろう。

 一人暮らしをしていたときの、不自由な足での家事の苦労や、寂しさや不安な気持ちからくる精神的な苦痛を考えると、24時間看護体制のある施設で、心配事がほとんどなくなったため、本人にとっても姉や私にとっても良かったと思う。

 ただ心配なのは、認知症を早めてしまうのではないかということである。母は認知症と診断されているわけではないが、年齢のせいもあるだろうが、最近は物忘れが多くなり、同じ話を何度もするし、怒りっぽくなっているため、少し気になっている。

 今まで、時間を気にして食事や薬を自分で管理したり、何曜日に病院に行って、何曜日にデイサービスに行って、何曜日にヘルパーさんが来る、といったことなどを、今後は自分で考える必要がなくなるのだ。施設に入って、することや考えることがなくなったら、認知症の発症や進行を早めたりすることはないかと心配である。

 以前読んだ「認知症世界の歩き方」(筧 裕介 ライツ社)をパラパラめくる。本書は、認知症の方約100人にインタビューをし、「本人」の視点から気持ちや困りごとをまとめた本である。本人の頭の中では世界がどう見えているか、何に困っているかがわかることで、どうやって認知症とともに生きるか、付き合い方や周りの環境を変えることで解決することなど、自分と自分の大切な人との生活をともに作っていく手引となる良書である。

 幸いなことに、施設では毎日レクリエーションがあるし、話し相手になる入居者が数人いるとのことで、少し安心している。足のトレーニングもしてくれるそうだし、自分でも廊下を何往復もして、歩くようにしているとのこと。母の性格上、レクリエーションに積極的に参加したり、スタッフに言いたいことを言ったり、入居者と噂話や思い出話をするなど、自分なりに楽しむのではないかと思っている。

 本日、このブログを書いているときに、たまたま施設長から電話がかかってきた。入居後数日たったが、落ち着いて元気に過ごしているとの報告だった。ほっとしたと同時に、いい施設に出会えたことに感謝した。これまで、病気がちだった夫(私の父)の面倒をみたり、不自由ななか一人暮らしをして苦労してきた分、これからは穏やかに暮らしていって欲しいと願う。