やすぴか日記

日常の出来事と過去の思い出の記録

九州旅行記⑧最終回<太宰府の仮殿に心を奪われ、東京上空で思いを馳せる>

 太宰府天満宮の「御本殿」は、2023年5月から124年ぶりの大改修を行っており、3年後の2026年に工事完了予定である。その間、「御本殿」の前に「仮殿」を建設し、そこで参拝できるようになっている。仮殿のデザイン・設計は、国内外で活躍し、大阪万博のデザインプロデュースもと努めている、建築家の藤本壮介氏が手掛けている。

 仮殿は、太宰府天満宮の周辺のに広がる豊かな自然が、御本殿の前に飛翔し、屋根に森が現れるというコンセプトでデザインしたとのこと。お椀のような曲線の屋根に木が植わっている大胆なデザインだが、目の前で見るとなんと美しいことか。屋根に本当の森があるようだ。

 横から見ると、屋根のカーブが美しく、見事なデザインに心を奪われる。下にはピカピカの拝殿があり、祈祷を受けている人が見える。一見、違和感があるデザインだが、不思議と周りと調和しているのである。いつまでたっても眺めていられる美しい建物である。3年間しか見られないなんて、逆にもったいない気がする。

 境内には、まだ咲いている梅がいくつか残っていた。本殿に向かって右側に、有名な「飛梅」がある。太宰府に左遷された道真公を慕って、京の都から一夜にして飛んできたと言われている。飛梅の開花が一番早く、1月の中旬とのことで、もはや終わっていて残念。

 参拝の後、御朱印とお守りを授与し、参道に向かう。相変わらず人が多く賑わっている。目的は焼き立ての「梅ケ餅」だ。一説では、太宰府に左遷された道真公は、罪人同様の扱いを受け、外出もままならず、食べるのにも困っていたところ、老婆がこっそりと梅の枝に餅を刺して差し入れしたことから誕生したと言われている。

 参道周辺には、梅ケ餅の販売店が30軒以上もあるそうだ。事前にユーチューブを見て、良さそうな店に目星をつけていた。そのうち「やす武」という店で焼きたての梅ケ餅を購入。比較的モダンな建物で、ガラス張りで梅ケ餅を焼いているところを見ることができる。焼き立ての梅ケ餅は、外がカリカリで香ばしく、中はモチモチして、ふっくらとした甘すぎないあんこがうまい。持ち帰りもあるそうだが、やはり焼き立てを食べるのが一番だ。

 こうして、すべての日程が終了した。もう帰ってしまうと思うと少し寂しい気がするが、十分満喫できたと思う。18時30分頃に羽田に到着する予定なので、帰宅はあまり遅くならないだろうと考えていた。ところが、その日は東京は嵐となっており、東京上空での待機を想定して、燃料を多めに積んだことで、福岡の出発が20分遅れとなった。東京上空に来ると、きれいな夕焼けが見えていた。おそらく嵐は去ったのであろうが、着陸の順番待ちであろう。20分ほど上空で旋回した。上空で待機している間に、暗くなってきて外もよく見えないので、ちょっとドキドキしたが、楽しかった数々の場所を思い出している間に、無事着陸した。

 こうして2泊3日の九州旅行は終了した。羽田からの首都高はとても空いていて、帰りの高速バスで、あっという間に家に着いたのである。ちなみに、羽田空港を出たら、雨がすっかり上がっていたことは言うまでもない。