やすぴか日記

日常の出来事と過去の思い出の記録

遊びの天才

 小学生時代の話である。近所にT君という遊びの天才がいた。学校から帰ると毎日のようにT君と遊んだ。休みの日もT君と遊んだ。

 T君とは同じ学区なのだが、小学校6年間は一度も同じクラスになることがなかったので、学校では一度も遊んだことがないどころか、学校内でも顔を合わせたことがない。しかし、学校以外ではいつも一緒に遊んでいた。

 毎日T君が遊びの提案をする。私はそれに従うだけだ。別に変わったことをするわけでもないのだが、今日はこれをしようとか、これからあそこに行こうとか、会うとすぐに提案する。私の二つ返事で決まる。本当によく遊んだ。

 当時はまだ自然が残っていたので、田んぼにカエルを取りに行ったり、池にザリガニを取りに行ったり、野原にチョウやトンボやカマキリなどの昆虫を取りに行ったりした。

 昔ながらの遊びもした。しょうや(メンコのことをなぜかこう呼んでいた)、かかし、コマ回し、手作りの凧揚げもした。

 オリジナルの遊びもした。自転車で団地一周何秒で走れるかの競争、団地のカベにボールを投げて何階まで届くか、取ってきたカエルの跳ねる距離の競争、など。

 外にいたら、近所の子たちが自然と集まってくるので、そのときは鬼ごっこ、どろじゅん(どろけい?)、たかたかぼうや(たかおに?)、かんけり、ハンドベースボール(基本野球と同じルールでゴムボールを手で打つ)、などをした。

 お互いの家にも遊びにいった。私の家に来る時は、もっぱらマンガを黙々と読む。T君の家には、プラレールとボーリングゲームがあったので、私はどうしてもそれがやりたくて、T君の家に遊びに行くことが多かった。

 そして、毎日外が真っ暗になるまで遊んで、親もあきれていたくらいだ。私が、毎日毎日楽しくて、退屈しなかったのは、T君がいてくれたおかげである。

 中学生で高校受験を意識するころになり、なかなか成績が伸びずにいると、小学生のとき遊ばせすぎたと、親によく小言を言われたものである。

 しかし、この時期があったこそ、いろいろな経験ができたのだと思う。この経験は何ものにも代えがたい。T君ありがとう。