やすぴか日記

日常の出来事と過去の思い出の記録

謎の傷害事件の思い出

 私は、人に怪我をさせたことがある。中学校2年生の遠足のときだった。どこへ行ったかは覚えていないが、おそらく昼休みに弁当を食べた後の、自由時間だったと思う。

 山肌が見えているところがあり、少し表面が柔らかかったのであろう、誰かが木の棒を投げたら、うまく山肌に突き刺さった。それでみんながやり始めた。手頃な木の棒が結構落ちていたので、私も含め5〜6人でやり始めた。やってみると結構難しく、なかなか刺さらない。

 私は次こそと、意識を集中して枝をまっすぐ平行にして、きれいに垂直に刺さるイメージを持って投げた。まさにイメージどおり刺さる!と思ったタイミングで、ちょうどその時、落ちた棒を拾いにいっていたH君が、立ち上がって頭をあげた。「あっ!」棒はきれいにH君の頭に突き刺さった、ように見えた。実際には「コン!」と当たって棒は落ちた。私は固まった。すると、H君の頭から血がポタポタと流れ出した。私は顔が真っ青になった。

 とその時、一緒にいたN君がとっさにハンカチを出してH君の頭を押さえ、「先生のところへ行こう」と言って、肩を抱いて連れて行こうとした。私も我に返って、一緒に行こうとしたら、N君は「お前は来るな!」と行って私を止めた。その気迫に押され、私はその場にとどまってしまった。

 その後どうなったかわからないが、帰りのバスに集合した時、H君は頭に包帯を巻いていた。N君も先生も他の誰かも何も言わない。学校に戻ってから呼び出されることもなかった。いったいN君は先生になんと説明したのだろうか。私をかばってくれたのか。他の誰かが見ているので、聞けばわかるはずだ。まったく問題にならずに終わったのはどういうことなのだろうか。その日はH君とも話す機会もなく帰宅した。

 私は帰宅した後、黙っていることはできずに親に報告した。親は驚いて、すぐに誤りに行こうと言った。H君の家は歩いて行けるところにあるので、母と二人で行った。幸い大事には至らなかったようで、包帯を巻いたH君と母親が出てきた。私は「ごめんね」と言ったら、H君は許してくれた。ちょっとほっとした。

 後日、怪我をさせた時のことを親に詳しく話したら、「なんだ、わざとH君を木で殴ったと思ってた。ほっとしたよ」と言った。「わざとやるわけないだろ!」と思うと同時に「だからといって、怪我させたんだからだめだろ!」思った。

 それにしても、その後もその話を誰も私にしないのは、どういうことだったのだろうか。先生は親に話をしたのだろうか。気が弱かった私は、自分からは何も聞けず、結局わからずじまいに終わった。