やすぴか日記

日常の出来事と過去の思い出の記録

額を5針縫った息子が、私に言った一言

 娘が5歳で、息子が3歳の時の話である。私は昔からゲームが好きで、子供とも一緒によくやっていた。その頃は「ゲームキューブ」や「Wii」のマリオ関連のゲームが好きで、休みの日などは家族みんなで」「マリオパーティー」や「マリオカート」などをやっていた。その当時は子供たちに勝てたが、子供は上達が早く、小学校の頃には、子供たちに勝てなくなるほどだった。

 ゲームばかりではよくないので、平日は妻が外に遊びに連れ出した。ここからは、聞いた話である。その日は平日で、私は会社に出勤していた。子供たちは妻と一緒に公園に遊びに出掛けた。娘は自転車に乗り、息子は三輪車に乗って行った。そして、その帰りに事故が起こった。

 私の住んでいるマンションは、地下が駐輪場になっていおり、スロープで下りるようになっている。スロープの下は、正面が壁で、右に入ると駐輪場である。スロープはかなり急で、日頃からちょっと危ないなとは思っていた。

 遊びから帰ってきて、駐輪場に下りるときは、いつもは二人とも自転車と三輪車から降りて、手で押して下りるのだが、その日に限って息子は三輪車に乗ったまま坂を下りていった。わざと下りたのか、誤って下りてしまったのか、それとも「マリオカート」が息子の頭をよぎったのかは定かではない。三輪車はブレーキがないので、そのままスピードを出して下りていった。気がついた妻が追いかけたが、三輪車の勢いがまさって追いつけず、正面の壁に激突した。

 「Y君〜!!」と名前を叫んで駆け寄る。息子は頭と額の間のあたりが、ぱっくり割れ、血が流れ出していた。「大変!!」妻は叫ぶ。しかし、妻は動転していても冷静であった。マンションから歩いて5分ほどのところに病院がある。とっさに息子の額にハンカチを当て、抱きかかえると、娘に「Aちゃん、絶対離れずに、後ろらかついてきて!」と言って、息子を抱きかかえたまま病院に向かって走り出した。

 妻は体も小さく、普段はそんなに力仕事もできなかったが、母は強し!病院までの距離を、血だらけの息子を抱きかかえて、さらに娘を気にしながら見事に走り通し、そのまま病院に走り込んだ。まさに「スター」を取った無敵状態のピーチ姫のような走りだ。

 この話を聞き、「妻はすごい!」と尊敬するとともに、妻の違う一面を知って、惚れ直したのであった・・・。

 結果、息子は5針縫って、頭を包帯でぐるぐる巻にされた。その写真をメールで送らられてきたのを見て、私は驚いて会社を定時で飛び出して、急いで帰った。

 家に帰ると。息子が頭に包帯を巻いて痛々しい姿になって、妻のひざの上に抱かれていた。「大丈夫か!痛かっただろう!」と私が言うと、妻が「Y君がパパに言いたいことがあるんだって」と言った。「どうした?なんでもいってごらん」と私が言うと、息子が涙ぐんだ顔をこちらに向け、ひとこと言った。

 「ねえ、もうゲームできないの?」