2泊目のホテルは「阿蘇の司ビラパークホテル」で、グレードアッププランというだけあって、とても良いホテルで、1泊目と比較すると、より良く感じてしまう。満足するホテルに泊まると、ようやく旅行に来た気分になる。
ホテルには建屋がいくつもあり、それぞれが長い廊下で繋がっており、迷路のようである。部屋に入ると、人感センサで玄関の照明がついた。部屋にはツインのベッドと小上がりの和室がついている。和室は使い勝手が悪かったが、外国人には受けそうであった。洗面台もバスルームとは別についており、ちょっと贅沢な気分。部屋にはカプセルタイプのコーヒーが入れられる「UCCのドリップポッド」のセットと、くまもんのペットボトルが2本置かれていた。
夕食は、前菜、小鉢から始まり、馬刺しのユッケ、もつ煮込み、メインは阿蘇の赤牛のすき焼き、さらにはバジル蒸しや、釜飯など、豪華な料理がたくさん出てくる。最後はオリジナルジャージー牛乳アイス。夕食をしている大広間からは、きれいな庭も見えていた。大浴場は、大きな浴槽と露天風呂があり、気持ちよく入ることができた。グレードアッププランにして良かったと、つくづく思うのであった。
夜中じゅう雨が降ったようで、朝も小雨が降っていた。部屋の窓から見える阿蘇山も雲に覆われていた。雨の中でレインコートを着て川下りをするのはいやだなあ。太宰府の参道も歩きづらいだろうなと、ちょっと気分が暗くなる。
朝食を食べて、ホテルを出発した。1時間30分かけて移動。福岡県に入っても雨がやまず、そして柳川の町に入っても小雨が降っていた。ところがふと見ると、向かう先にだけ、なぜか雲の間から光の筋が降りていた。そして、目的地に近づいたとたん、雨がピタリとやんだ。もはや神がかり的な晴れ女パワーである。
江戸時代に立花藩の柳川城下町として栄えた柳川は、「水郷(すいごう)」と呼ばれる水の町である。「掘割」と呼ばれる水路が編みの目のように張り巡らされており、「どんこ舟」に乗って船頭さんの話や歌を聞きながら、四季折々の景色を楽しめる川下りが有名である。
船頭さんは長い棒を巧みに操り、舟を進める。話もおもしろいし、歌も上手である。柳川は詩人の北原白秋の出身地で、彼が歌詞を書いた歌も披露してくれた。川の上から見る景色はきれいで、川べりに垂れる柳の枝や、白壁の美しい街並みをのんびりと眺めることができる。
途中でいくつもの橋をくぐるのだが、中には低い橋があり、乗っている全員が頭をかがめないとぶつかってしまうほどだ。船頭さんは橋をくぐれないので、なんと橋の手前で橋の上に飛び上がり、道路を渡って舟を待ち、舟がきたら舟に飛び降りるというパフォーマンスもあった。約1時間の楽しく贅沢な時間を楽しむことができた。
ちなみに、柳川はうなぎが有名で、町にはたくさんのうなぎ屋がある。そもそもうなぎの餌として、昔はドジョウもたくさんいて、柳川鍋は郷土料理となっている。柳川のことはほとんど知らなかった私たちであったので、川下りをできて本当に楽しかった。まだまだ日本には知らない場所がたくさんあるってことだろう。