やすぴか日記

日常の出来事と過去の思い出の記録

「暑い」「熱い」「厚い」

 もうすぐお彼岸だというのに真夏のように「暑い」。連日テレビで猛暑のニュースばかりやるので余計に「暑い」。この三連休も暑すぎて、外に出ることをためらい、ポケモンGOも散策をやめ、ランチした店内でやるほどだった。それでも、寒くなったら寒くなったで、文句を言うのだろうから勝手なものである。今週末から少し涼しくなるとのことなので期待しよう。

 「あつい」といえば、今週は視聴していたドラマの最終回が相次いだ。「VIVANT」は、俳優たちの「熱い」演技と「暑苦しい」演技で、毎週楽しみに見ていたが、展開の速さと、伏線につぐ伏線、そして回収しまくりで、すっきりしたような、しなかったような。

 「真夏のシンデレラ」は、「暑い」夏の「熱々」の恋物語だった。今時こんなベタな内容が若者に受けるかどうかわからないが、個人的にはお決まりでお約束ドラマが好きなので、想像どおりのハッピーエンドで終わったので、これはすっきりした。

 もうひとつ「あつい」といえば、京極夏彦著の「鵺の碑(ぬえのいしぶみ)」(講談社ノベルズ)を購入した(「ぬえ」は漢字変換できなかったので夜の鳥と打ったが、実際は空に鳥)。百鬼夜行シリーズでは17年ぶりの新作だ。京極夏彦の書籍は。「ぶ厚い」ことで有名で、「レンガ本」とか「サイコロ本」とか言われている。今回の新作もノベルズで832ページを上下2段組みの文字でびっしり埋められており、4.7cmという「厚さ」だ。あの「コロコロコミック」より「厚い」。ちなみに単行本の方は、1280ページで6.6cm、重さは1.2kgとのこと。

 京極夏彦は、これまで直木賞を受賞した「後巷説百物語(のちのこうせつひゃくものがたり)」など、いろいろな著作があるが、私は今回の百鬼夜行シリーズが一番好きである。戦後の日本を舞台にして、妖怪に見立てられた様々な事件を、古本屋で陰陽師の「京極堂」こと中禅寺秋彦が、憑き物を落として事件を解決する物語である。

 文体は、時代を感じさせるような言い回しや、小難しい漢字を使ったり、変わった擬音を多用したり、博識の主人公の「京極堂」のウンチクが何十ページにもわたり延々と続いたりして、読みにくいったらありゃしない。でもこれがクセになるのだ。一見無駄と思われるウンチクや細かい描写が伏線となって、最後に回収されるとすっきりする。

 京極堂の長いセリフは、ただ事件を解決するだけでなく、話すたびに犯人は憑き物が落ちたようになり、最後は心を救われるのである。でもこんなに長い説明でなくてもいいんじゃないかと思う。半分とは言わないけど、あと3分の1くらいは減らせるんじゃない?

 この秋の夜長は、17年ぶりに百鬼夜行の世界をじっくり味わわせていただこう。そして、読み終わったころ、「京極堂」の「熱い」語りで、私も憑き物を落とされていることだろう。