やすぴか日記

日常の出来事と過去の思い出の記録

入院の思い出(②ついに手術!)

 手術の説明を聞くため、両親がわざわざ名古屋から駆けつけてくれた。その頃は、父は喉頭がんの術後の治療が続いており、また母も糖尿病だったため、二人とも体調が万全ではないなか来てくれて感謝しかない。

 手術の内容は、肺の悪い部分をゴルフボール大にくり抜くように取るとのこと。肺はぶどうの房のような作りになっており、くり抜いても後で再生するそうだ。後で聞いた話だが、父が病院の先生に「息子はまだ若いので、なるべく手術の跡が目立たないようにしてほしい」と、お願いしてくれたそうだ。ありがとう父。その結果、体の側面の脇から下の部分を15cmほど切って、あばらの間から幹部を切除することになった。

 いよいよ手術の日、前日下剤を飲んで腹の中はからっぽだ。朝、体毛を剃りにきた。わき毛を含み、上半身の体毛をすべて剃った。くすぐったくて変な気持ちだ。そして手術室に向かうため、ベッドに乗せられる。ドキドキして逃げ出したくなるが、どうしようもない。まさにまな板の上の鯉であった。

 手術台に乗せられ、麻酔を背中から入れるので、背中を丸めてくださいと言われた。一度名前を呼ばれて返事をした。しかし、その後はまったく覚えていない。

 すると、何度か名前を呼ぶ声が聞こえた。目を開けた。無から蘇った気分だった。手術が終わったことが理解できた。目の前に心配そうな父の顔が見えた。私は、なぜか強がってピースサインをした。ピースサインをしたことで、父も安心したようだった。しかし、再びすぐに眠りに落ちた。

 しばらくトイレに行けないため、手術前から尿道に管を入れていたのだが、入れている間は、ずっとトイレに行きたい状態が続いている感じで、とても嫌だった記憶がある。手術後、2〜3日後だと思うが、看護婦さんから「管を抜きますよ」と、なにげに言われた。私はあわてて、「えっ!ちょっと待って!抜くとき痛くないの?」と思わず聞いた。「大丈夫ですよ」とやさしく言われて、おもむろにすっと抜かれた。変な違和感があった。いっそう、ちぢみ上がったことは言うまでもない。

 無事手術は終わり、これから大部屋に移されるわけだが、退院まではまだまだ長い入院生活が続く。③に続く。