やすぴか日記

日常の出来事と過去の思い出の記録

父が残したコラム

 数年前、実家に行ったときに荷物の整理をしていたら、印刷物の切り抜きに父が書いたコラムが掲載されているのを見つけた。父は喉頭がんと直腸がんを患い、3度の手術を受け生還しており、そういった理由もあって会社の社内報か病院の会報のようなものに原稿を頼まれたものと思われる。

 私の父は、2015年7月に享年87歳で亡くなった。父は、普段は優しいが厳格で、一本筋が通っており、怒ると恐ろしく、口では絶対に勝てない存在であった。子供の頃、何かで説教を受けた時も、気が弱い私は言い返せず、ただ黙って聞くだけで、いつも気持ちで逃げていた。大学進学のため家を出て依頼、年に数回帰省したときに話すだけで、なるべく避けていた気がする。がんを患った時も、認知症になったときも、離れているのをいいことに、そばにいて世話をしてあげることができずに、母に負担をかけるばかりで、十分な親孝行ができなかったと思っている。

 父のコラムの一つは、喉頭がんから復帰した2年後に書いたもので、がんと診断されたときの絶望的な気持ちや、必ず復帰しようと努力する闘病中の様子が書かれており、文字数は少ないが、壮絶な内容であった。

 もう一つは、その少し後に書いたもので、昔のことや日常の出来事などを書いたものである。復帰後、少し時間がたってようやく書けたことや、がんを経験したからこそ書けたことなど、数行の文章に父のルーツや人柄がにじみ出ていた。

 私がブログを始めようと思いついたのは、このコラムを読んだことが根底にあったのだと思う。自分の経験したことや、そのとき何を思っていたかを何かに残しておきたいと思った。そして、父のコラムを読み返して、このコラムもどこかに残しておきたいと思った。

 これから親孝行をすることはできないが、このコラムを残すことはできる。いずれ、このブログに保存し、私の感想も残しておきたいと思う。