やすぴか日記

日常の出来事と過去の思い出の記録

食欲の秋にふと思い出したこと

 秋も深まり、何を食べてもおいしい季節である。私は嫌いな食べ物はほとんどなく、納豆だけはどうしても食べられないのだが、それ以外のものは何でも食べる。そんな私も幼少期の頃は食べることが苦手だった。そして急に何でも食べられるようになったきっかけを覚えている。

 幼稚園の昼食は、給食とお弁当の日があった。給食といっても今でも似たようなものがあるが、細長のロールパンの真ん中に縦に切れ目があり、チョコクリームなどをはさんだものが1個だった。当時のパンはいまのようにふわふわではなく、固くてパサパサで、口の中に入れると水分を取られて、かんでもかんでも飲み込めなくて、クリームもおいしくない。私はそれがどうしても食べられなくて、給食時間内に3分の1程度しか食べられない。

 当時は食に関して結構厳しく、食べないと先生から怒られる。パンの半分くらいのところに指を当て、「ここまでがんばって食べなさい」と言われる。半泣き状態で口をつけるが、ほとんど進まない。休み時間になっても、先生があきらめて終りと言うまで、横にぴったりと着かれる。今なら食ハラスメントだ。お弁当もしかりで、母親が気を使って、ひとつまみ程度に丸めたおにぎりを数個入れてくれるだけだが、それも食べきれずに、毎回先生にハラスメント(そうじゃないが)を受けた。

 小学校に入っても、当時の担任教師は給食を残すことに関しては特に厳しく、残したものはハンカチに包んで家に持って帰らされた。なんと汁物のおかずまで包んで持って帰れと言うのである。ハンカチはもとよりランドセルの中もべちゃべちゃである。さすがの母親もあきれていた。今ならモンスターペアレントでなくても苦情殺到であろう。

 新居に引っ越したため、小学生の1学期に転校した。転校先の学校で、すぐの授業の時に、「Y君は手を挙げる時にまっすぐ挙げて偉いね」と、皆の前で褒められた。先生は私をクラスになじませようと、気を使って言ってくれたのであろうが、それから子供ながらにいい子にならねばと、無意識に思った。

 最初の給食のときにコーンスープが出た。見た目から食べたくなかったが、私は外面を気にして、「これはおいしくて大好きなものだ」と強く思いながら、思い切ってぱくりと口に入れた。「おいしい!」本当においしいと感じた。なんとそれから、なんでもおいしく感じるようになり、家でもたくさん食べられるようになった。単純なものである。ちょうど食べる時期にさしかかったのだろうが、これが何でも食べられるようになったきっかけだと記憶している。

 私の子供たちが小さい時は、ふたりとも食べることが苦手で、結構うるさくいったものだが、自分もそんな時期があったので、今思えば申し訳なく思っている。しかし、ふたりともどちらかというと、今でも食が細く食べることが遅いので、私のようなきっかけが何もなかったのかなあ。