やすぴか日記

日常の出来事と過去の思い出の記録

肝油ゼリーを盗み出せ!

 最近テレビで、餃子の無人販売や高級自動車などの盗難ニュースをよく見る。窃盗は昔からよくある犯罪であるが、なぜ最近ニュース番組でよく取り上げられるかというと、防犯カメラがあるからだ。今やどこにでも防犯カメラがあり、逃亡した犯人の足取りや行方不明の子供の直前映像までもよく流されている。それにもかかわらず、窃盗が繰り返されるのは疑問である。かく言う私も、実は幼稚園時代に窃盗事件を起こしたことがある。防犯カメラはおろか、ビデオカメラさえ普及していなかった時代の話である。

 私が幼稚園時代のころは、肝油ゼリーが一人に1個配られる日があった。肝油とは、サメやエイの肝臓から抽出した脂肪分で、ビタミンAやビタミンDが含まれているため、戦後からの名残なのか、栄養補給の目的で幼稚園で配られていた。今はほとんど配られることが無くなったようであるが、当然現在でも購入できる。私が食べていたのは、たしかオレンジ味だったと思う。とてもおいしくて、1個では物足りない。しかし、食べすぎると下痢や腹痛をおこすおそれがあるため、おかわりはもらえなかった。

 さて、いつもどおり手をチューリップの形にしてワクワクして待っていると、その手の中に先生が肝油ゼリーをみんなに1個づつ入れていってくれる。それを口に含む。至福の時である。あーおいしい!もっと食べたい!ふと見ると、配り終わった先生が机に戻り、肝油ゼリーがたくさん入った缶を机の引き出しにしまっていた。「あそこだ!あの缶の中には、まだたくさんの肝油ゼリーが入っている!」そこで考えた。先生がいないときにあそこに行けば、肝油ゼリーが食べ放題だ。そこで、隣の席にいたS君に声をかけ、こっそり作戦を話した。さながらルバン三世が次元と作戦会議をするような気分である(そのころはまだ放映していないが)。休み時間に先生がいなくなったのを見計らって、ルパンと次元は作戦を決行した。そして机の中の缶を取り出して、肝油ゼリーをポケットにありったけ詰め込んで席にもどった。

 防犯カメラの無い時代に、なぜバレたかって?当然、公衆の面前で盗みを犯しているので、正義感の強い小娘がチクったのだ。誰が犯人かは一目瞭然、ポケットがパンパンに膨れているのは二人だけである。母親も呼び出されて、こっぴどく叱られたのは言うまでもない。一瞬にして肝油ゼリー盗み出し作戦は失敗に終わった。

 皆さん、必ずカメラや誰かが見ているので、盗みは絶対にいけませんよ。